SONY「α7R III」と「α7R II」の違いを比較してみた

2017年11月26日

ソニーが、フルサイズのミラーレス一眼 α7R III を2017年11月25日に発売します。α7Rシリーズはそにーのフルサイズミラーレスの中でも高解像度モデルに当たります。

【ソニー フルサイズ機のラインアップ】

α7 → 標準モデル(フルサイズの中では廉価)
α7R → 高解像度モデル(4000万画素以上)
α7S → 暗所に強いモデル(ISO102400以上)
α9 → 20コマ/秒の高速連写&AF追従モデル
    (α7シリーズよりも上位の最高スペック)

 

α7R IIIの有効画素数は4,240万画素と、旧モデル(α7R II)と同じですが、AF性能や操作性など高解像にをフルに活かすためのアップグレードのほか、画像処理エンジンが刷新されており、低輝度時のダイナミックレンジなどが改善しています。

旧モデルの発売は2015年8月なので約2年ぶりの後継モデルの登場となりますが、実勢価格は旧モデルが約30万円、α7R IIIは約37万円と10万円弱の差があります。解像度は同じですし、値段の差を考えると旧モデルでもいいのかも、と思っている人も多いと思います。

そこで、価格差を考えてもα7R III は買うに値するカメラなのか?スペックを比較して、主な違い10を紹介していきます。

  α7R III α7R II
メーカー SONY SONY
発売日 2017年11月25日 2015年8月7日
参考価格
(ボディのみ)
約37万円 約30万円

① バッテリーライフが約2倍に向上

バッテリーは従来から2.2倍の容量のZバッテリー(NP-FZ100)になり、撮影可能枚数は約530枚(EVF)、約650枚(背面モニター)へと向上しました。旧モデルがそれぞれ約290枚、約340枚だったので2倍ぐらいまで増えたことになります。USB充電にはいずれも対応。

縦位置グリップはα9と共通の「VG-C3EM」(税別3万5,000円)が使用可能です。

② デュアルスロットになりSDカードが2枚入る

側面に配置されているボタンを下にスライドさせるとSDカードのスペースが出現します。α7R IIIの対応メディアはSDメモリーカードで、UHS-II対応のデュアルスロットとなっています。旧モデルはシングルスロットでしたので、記録メディアの容量も単純に2倍になったことになります。

 

  α7R III α7R II
防塵防滴
(使用温度範囲)

(配慮した設計)

(配慮した設計)
撮影枚数
(CIPA基準)
液晶モニタ 650枚
EVF 530枚
液晶モニタ 340枚
EVF 290枚
USB充電
対応記録メディア SD×2
(UHS-II/UHS-I)
SD×1
(UHS-I)
重さ
(バッテリー、
記録メディア含む)
657g 625g
サイズ
(幅x高さx奥行き)
約127×96×63mm 約127×96×60mm

 

③ 背面モニタ・ファインダーの高精細化&タッチAFを搭載

α7R III の背面モニターは3型約144万ドットと、旧モデルの123万画素から。また、タッチAFにも対応しており、操作性の向上につながります。

背面モニター

  α7R III α7R II
画面サイズ 3.0型 3.0型
ドット数 144万ドット 123万ドット
可動式モニタ チルト方式 チルト方式
タッチ操作

ファインダー

EVFも約369万ドットの有機ELパネルを採用し、旧モデルの236万ドットから高精細化しています。また、最大輝度が約2倍、撮影可能な状態になるまでの時間が約30%の高速化しているとのこと。さらに、フレームレートが選択ができるようになっており電池持ち重視(60fps)と、撮影性を重視(120fps)のパターンを切り替えられます。

  α7R III α7R II
ファインダー EVF EVF
ドット数 368万ドット 236万ドット
ファインダー視野率
(上下/左右)
100 % / 100 % 100 % / 100 %
ファインダー倍率
(35mm換算)
0.78倍 0.78倍
最高フレームレート 120fps 不詳

 ④ 見た目はほとんど一緒。でも、操作系が改善

ボディは旧モデルと同様に「防塵防滴に配慮した設計」。外装素材にはマグネシウム合金を使用。てんこ盛りスペックにして657g。旧モデルの625gからほんの少し増えただけで重さに差はありません。外寸もほぼ同じです。

見た目は旧モデルとほとんど同じですが、大容量バッテリーへの変更に伴って、旧モデルと比べてグリップが深くなっており、明らかにグリップ力が増しています。また、α9と同様にタッチパネルへの対応と併せてマルチセレクターが設置されるなど、操作系も大幅に改善されています。

操作系の大きな変更点として、より高速なフォーカスポイント移動を促すマルチセレクターの新設ファインダーを除きながら指でフォーカス点を移動できるタッチパッド機能の追加があります。これに伴い、ボタンの形状や位置も見直されており、「AF/MF/AEL切換レバーとボタン」であったものが、「AF-ONボタン」と「AELボタン」として独立して配置されています。
 
 
 
その他、細かい変更点としては、右手側側面のMOVIEボタン(確かにそんなに押しやすいと思えない位置にあった)が背面に移動し、好みの機能を割り当てられるC3ボタンが、背面の右手側から左手側に移動。コントロールホイールも若干大型化して使いやすそうになっています。

 

⑤ 画像処理システム刷新によるダイナミックレンジなど向上

イメージセンサーは、裏面照射型CMOSセンサーの「Exmor R」、有効約4,240万画素、最高感度はISO102400、と旧モデルと同じになります。改良ポイントとしては、画像処理システムのBIONZ Xが刷新され、センサー自体は同じでも高画素をより活かせるようポテンシャルのアップが図られています。

具体的には、

  • 低感度時のダイナミックレンジはRAWで15EV
  • 常用感度はISO25600からISO32000と1/3段分向上
  • ISO800〜3200前後で約1段分のノイズが低減
  • 連写時や電子シャッターを使ったサイレント撮影時においても14bitでのRAW出力が可能

SonyAlphaRumorsに掲載されているダイナミックレンジのテストによると、最低感度からISO400まではα7R III がα7R II から改善しており、ダイナミックレンジの差は最大で0.4EVISO800以降はほとんど差がないことがわかります。

実際に、α7R III とα7R IIの等倍切り出しの比較サンプルをみると、解像感やディテールに差があるように見えます((左がα7R III、右がα7R II、ISO6400)。

via Imaging Resource

⑥ 手ぶれ補正の効果が5.5段分に

旧モデルから5軸手ブレ補正を搭載していましたが、補正効果が4.5段分から5.5段分へ向上しています。三脚を使った撮影であれば問題になりませんが、高解像であるほど手ブレの影響が写真に表れやすくなりますので、期待できる機能強化です。

 

  α7R III α7R II
有効画素数 4,240万画素 4,240万画素
センサータイプ CMOS
(Exmor CMOS)
CMOS
(Exmor CMOS)
センサーサイズ 35mmフルサイズ
(35.6×23.8mm)
35mmフルサイズ
(35.6×23.8mm)
ISO感度
(拡張最高感度)
100〜32,000
(102,400)
100〜25,600
(102,400)
手ぶれ補正
(5軸 5.5段)

(5軸 4.5段)
画像処理プロセッサ BIONZ X BIONZ X
その他    

⑦ 1億7000万画素の画像がつくれるピクセルシフト撮影

旧モデルにはなく、α7R IIIから新たに搭載された機能として、ピクセルをずらしながら4連写するピクセルシフト撮影と写真を合成するImage Edgeによって、1億7000万画素の写真をつくることができます。

ボディ内で合成できないた一手間かかりますが、魅力的な機能です。全画素にRGBすべての色情報を持たせることが可能となっているため、高精細でもモアレやノイズはなくなり、美しい色で写真が撮れる、ということです。

DPREVIEWに掲載されている撮影サンプルをみると、明らかにディテールの大幅な増加がわかります(左がピクセルシフト撮影)。

ピクセルシフト サンプルvia DPREVIEW

 

⑧ 10コマ/秒の連写、追尾性能2倍などAF性能が大幅に改良

電子シャッター時もメカシャッター時も、連写は最高約10コマ/秒。旧モデルの5コマ/秒から2倍になりました。

連写性能向上に伴い、シャッターユニットも新たに開発されています。耐久性と静音性を両立させたとのことで、約50万回のレリーズ耐久性があります。

 

AF性能も大幅に向上。α7R IIIの測距点は位相差が399点、コントラストが425点(旧モデルは位相差339点、コントラスト25点)トフォーカスによりAFエリアが高密度に。さらに、動体予測アルゴリズムはα9のものをα7R IIIに最適化したとのことで、低照度時のAF速度、動体および瞳AFの追随性は、いずれも旧モデルの最大2倍になっているとのこと。低輝度は旧モデルの-2EVに対し、満月の月明かりぐらいという-3EVに対応。

メモリー増加やUHS-II対応により連写時のバッファも向上しており、連続撮影可能枚数は、非圧縮RAWで28枚、圧縮RAWで76枚、JPEGで76枚。シャッター速度は1/8,000秒〜30秒、バルブ。シンクロ速度は1/250秒。電子先幕シャッターおよびサイレント撮影(完全電子シャッター撮影)も可能となっています。

  α7R III α7R II
AF方式 ファストハイブリッドAF
(像面位相差AF、コントラストAF)
ファストハイブリッドAF
(像面位相差AF、コントラストAF)
AF合焦速度
(CIPA規格)
   
測距点 位相差 399点
コントラスト 425点
位相差 399点
コントラスト 25点
測距範囲 -3〜20EV -3〜20EV
シャッタースピード 1/8000〜30秒(メカ) 1/8000〜30秒(メカ)
電子先幕シャッター
フラッシュ同調速度 1/250秒以下 1/250秒以下
連続撮影コマ数 10コマ/秒(AF追従) 5コマ/秒(AF追従)
連続撮影バッファ RAWあり: 76枚
RAWなし: 76枚
RAWあり: 23枚
RAWなし: 37枚
シャッター耐久回数 約50万回 約50万回
その他 サイレント撮影 サイレント撮影

⑨ 4K HDR動画が撮影できる

α7R IIIでは、4K動画記録時の高感度画質が向上したほか、4K HDR映像(HLG)の記録に対応しています。また、フルHDでの120fpsハイスピード撮影やスロー&クイックモーション、動画からの静止画切り出しにも対応したほか、動画記録時のAFでは速度と精度の両方が向上しているとのこと。

  α7R III α7R II
記録方式 XAVC S:LPCM
AVCHD:AC-3
XAVC S:LPCM
AVCHD:AC-3
MP4:MPEG-4 AAC-LC
動画記録サイズ/
フレームレート
4K 30p
FHD 120p
S&Q FHD 1-120fps
4K 30p
FHD 120p
その他 HLG対応  

サンプル動画

⑩ インターフェースがちょこっと変わった

インターフェース変更点としては、USB端子はmicroUSBとUSB Type-Cを装備していることがあります。端子が2つなので、片方にリモコンを繋ぎながら、もう一つの端子でUSB給電といったちょっと便利な使い方も。

  α7R III α7R II
映像/音声出力
・デジタル端子
Micro USB
USB Type-C
Micro USB
外部マイク入力端子 φ3.5mm φ3.5mm
HDMI Type D Type D
Wi-Fi
Buletuooth
GPS
電子水準器
内蔵フラッシュ
その他    

 

結論

α7R IIIは4,240万画素と旧モデルと同じ解像度ながら、高画素を活かすための改善がたくさんあることがわかります。α7R II をすでに持っている人がわざわざ書い直すかどうかは微妙なところもありますが、画像処理エンジンも改良されており低感度のダイナミックレンジも向上しているとのことです。そのほかAF性能や操作性も向上していることを考えると、マイナーバージョンアップというよりは、新しい次元にリニューアルしたカメラとも捉えられます。

これから新しくフルサイズの高解像モデルを買おうとしている人には、旧モデルとの価格差が気になるところでしょう。旧モデルでも十分に素晴らしいカメラですが、α7R III も価格差を埋められるだけのポテンシャルを持った機種であることは間違いありません。

画像引用:SONY